ならべかえ検定

 ならべかえ検定を、2群の平均値の比較を例に説明しましょう。

 2つの異なる種の木から、葉を5枚づつ採集して測定しました。すると、平均値に 0.54cm の差がありました。

 この平均値の差は、B種の方がA種とに比べ葉が大きくなる性質が本当にあるために生じたのでしょうか? それとも、葉の大きさはA種とB種で変わらないのに、葉の大きさにはばらつきがあり、A種からはたまたま小さめの葉、B種からはたまたま大きめの葉を採取してしまったのでしょうか?

 そこでひとまず、葉の大きさにはA・B種で差がない(母集団の平均値が同じ)と仮定してみます (帰無仮説)。そしてA・B種のサンプルを1つにまとめて、両種が属する1つの母集団の代表値とみなします。

次に、木から5枚ずつ葉を集めてきたのと同じように、母集団からランダムに5枚ずつ選び、2つの分集団に分けます。この場合、葉の組み合わせは 10C5=252通り あるはずです。もし本当に母商談が同じなら、観察値である0.54cmという平均値がたまたま生じた差だとすれば、252通りの組み合わせの中でも、0.54cmより大きな差は頻繁に見られるはずです。そこで、全ての組み合わせについて平均値の差を計算して、0.54cmより大きい組み合わせの数えます。

すると252通りの組み合わせのうち、13通りで平均値が0.54cmより大きくなりました。つまり、たまたま0.54cm以上の差が生じてしまう確率は、13/252 = 5.2% ということになります。ふつうこの確率が 5% (有意水準) より小さいと場合には、これは偶然ではなく、母集団が同じである可能性は低いと判断します (帰無仮説の棄却)。しかしこの場合、5%以上なので母集団が異なるとはみなせませんでした。

また平均値の絶対値で比較すると、0.54cmよりも大きい組み合わせは 26通り あります。B種よりA種の方が葉が大きいはずであるという明確な根拠がない場合、絶対値を比較すべきです (両側検定)。この場合、両側検定では 26/252 = 10.4% となります。

※ この例では、A・B種に差があるとは結論できませんでしか。では、差がないと結論できるのでしょうか? 実は話はそれ程単純ではありません。詳しくはこちらへ。


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廣田 忠雄 @ 山形大学 理学部 生物学科 生物多様性大講座