日本動物行動学会, 第17回大会 (1998), 東京農工大学

花より交尾:繁殖行動と吸蜜行動の関係と日齢による変化

廣田 忠雄・小原 嘉明

東京農工大・獣医学科・動物行動学

概要:モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)のオスは、処女メスを発見するために、キャベツなどの食草の上を熱心に探索する(メス探し)。メス探しは午前中に頻繁に観察されるが、これはオスがメスの得られやすい時間に合わせているためだと思われる。この時間帯には、吸蜜行動も頻繁に観察される。吸蜜行動の繁殖戦略への影響を調べるために、個体識別されたオスを 10 x 20 m の野外ケージで観察した。結果、1日のメス探し時間と吸密時間に正の相関があること、吸蜜する時間帯が日齢とともに午後にずれこむことが分かった。これより、メス探しを続けるためには一定の吸蜜が必要となる生理的な制約があること、またその制約は日齢とともに緩和することが示唆された。更に、日齢による吸蜜行動の変化の至近要因として、オスの体重の変化に注目して議論する。

キーワード:昆虫, 鱗翅目, 蝶, シロチョウ科, 交尾行動, 繁殖行動, 採餌行動, 進化, 生態

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