日本動物行動学会 第17回大会 発表内容 (1998年 東京農工大)
メスの羽化時刻に、何故オスは遅刻するのか?

濱野 菊江・廣田 忠雄小原 嘉明 (東京農工大・動物行動)

 モンシロチョウのオスは、食草で羽化する処女メスをめぐって早い者勝ち型の競争をしていて、食草を丹念に探索する行動が頻繁に観察される。もしオスが1日のうち限られた時間しか探索できないなら、よりメスを得やすい時間帯に探索するだろう。しかし実際の観察では、メスが5-6時に集中的に羽化するのに対し、オスは6時ごろに探索を始め、探索するオス数は9時頃に最大になる。Iwasa & Obaraはこの現象の説明するために、経時的に変化するメスの探索効率を予測した。我々は、探索効率の経時的変化の至近要因として、羽化後のメスの行動に注目し、実験的に検証した。結果、メスは羽化から2-3時間後に自発的に位置を変えたり、飛翔すること、その結果オスがメスを発見しやすくなることが分かった。

メスの得られやすさと探雌オス数の変化

1. イントロダクション
2. 仮説
3. 実験1 羽化後のメスの行動
4. 実験2 発見率の比較
5. 結論

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