日本動物行動学会 第19回大会, 滋賀県立大学, 2000年11月

カエルの跳躍力とその種間差

桝屋安里 (東京農工大・動物行動)廣田忠雄 (ICU・理・生物)・長谷川雅美 (東邦大・保全生物)

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要旨:カエルは、移動や外敵などからの逃避のために、通常の歩行とは異なる跳躍行動を行う。この行動は、捕食回避の手段として重要である。しかし種によっては跳躍以外に、体色変化(背地効果)・隠蔽形態によって捕食を回避するものや、攻撃行動・有害物質・匂い物質によって反撃するものもいる。跳躍とそれ以外の防衛手段の効果は相反するものではないが、跳躍力が高い種では有害物質をもつものが少ないとも言われている。しかし、跳躍能力は種間差や、他の防衛行動との関係を解析した例はない。本研究では、千葉県に生息する8種(アズマヒキガエル, ニホンアマガエル, ニホンアカガエル, ヤマアカガエル, タゴガエル, トウキョウダルマガエル, ツチガエル, カジカガエル)の跳躍能力を調査し、その種間差を解析した。結果、跳躍力には有意な種間差がみられた。この際、脚長が跳躍力を決定する有意な共変量としてあげられた。また、体色が変化するニホンアマガエル、有毒物質をもつアズマヒキガエル、匂い物質を分泌するツチガエルで、跳躍力が低いことが分かった。これは、異なる防衛能力の投資量にトレードオフがあることを示唆する。

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廣田 忠雄 @ 山形大学 理学部 生物学科 生物多様性大講座